いまだにいとおしい夏はいとおしい あなたがいとおしい 蝉の声の録音テープを 今年は耳元に置いてやりたい 花火大会の写真を 今年は現像して飾ってやりたい どれもこれも 去年までは君の 声や姿が 収まり切らないほど入っていた でも不思議なことに 世界は今日も回り続ける きみを忘れることはないだろう わたしの中のきみを忘れないために わたしはわたしの中のきみを思い続ける きみを忘れたくない きみを変わらず好きでいたいから そしてそうありたいと 願っいるのだ ひかりまたたくこの夏に きみの体温も 息遣いも仕草も表情も全部 思い抱いていたい そうありたいと心から -------------- 他者の記憶や 事実・現実と照らし合わせると 自分の記憶と交錯して 自分の記憶すら信じられなるという 自分の記憶は他者とは共有できないものとして捕らえるべきで 相対主義を廃してゆくことでしか記憶は守れない (たとえば) (友達と映画の体験談をしていて、自分だけの感想をもっていた) (けれど皆の話を聞いているうちに、自分の記憶が歪められて) (皆と同じように記憶し直してしまう) 切ない人間の性を切り抜くことは不可能だろうね。 守りたいという気持ちだけが他者を生かすんだろうね。 |